「武士道」を読む

『武士道』を読む 新渡戸稲造と「敗者」の精神史 (平凡社新書)

『武士道』を読む 新渡戸稲造と「敗者」の精神史 (平凡社新書)

国家の品格で,「武士道」が高く評価されていたせいか眼について購入しました.新渡戸稲造の武士道は大昔に読んだっきりでたいして憶えてもいません.新書で改めて解説つきで概観できるのはよい体験でした.

この本,最初のほうが視覚的でとてもよいです.すきっと晴れわたった空が広がるようなさわやかな感じを与えてくれます.エッセイストとして評価される筆者の筆力の技でしょうか,内容もさることながら雰囲気の良さが大変に好印象でした.

内容は,書籍「武士道」に留まらず,新渡戸稲造の生涯から家族,友人,関係者まで登場し,ある意味では雑多です.まあ,新書ですし,ひとつのものを詳しく書くよりもいろいろ紹介することに目的があるのかも知れません.

さまざまに盛り込まれたなかでもやはり目を引き,内容にも説得力がありおもしろいのは,新渡戸稲造と筆者の共通点でもある,郷土,南部および南部人の話,そして,同じく共通点であるキリスト教に関するところでしょうか?この2点についてはここまで詳しく感情を込めて書ける方はおそらく他にはいないでしょう.そのくらい生き生きしていて読んでいて楽しかったです.