Being John Malkovich

 少しずつずれた,非現実的な世界をなぜかとても現実的に見せるシチュエーションコメディだと思う.マルコビッチの意識入り込む「穴」,会社が存在する「7 1/2階」,不死の男などなど.文章にするとどれもあり得ないことなのに,映画のなかだと現実にそれが存在するように見える.

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 このような非現実的な設定とともに,現実の役者であるジョン・マルコビッチが本人の役で登場したり,間抜けな友人役として素のまんまのチャーリー・シーンが出てくる.もちろん役名もそのまま.現実と非現実の交錯が,一つのまとまった不思議な現実感のある世界を作り出す.
 まるで寝ているときに見る夢のようだ.もう少し詳しく説明しよう.たとえば,夢を見ているときは,それが不合理であろうと不条理であろうとあまり気にならない.夢の世界をそのものとして受けいれるのが普通であろう.この映画はまるで夢を見ているときの非現実に対する現実感が存在する.とてもおもしろい.

 でもなぜか全編を興奮とともに一気に見せてしまう力に乏しい.少し盛り上がりに欠けるんですよね.まあ,それもまた実際の「夢」のようではあるけれど.

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  • 接待ですわ.