プレゼントとは特別な気持ちにさせるもの

大学のスタッフルームにお茶を飲みに行くと,事務のおばさんCの怒りにまかせた会話に巻き込まれてしまいました.Cは,

「旦那が誕生日になにをくれたと思う?掃除機よ,掃除機!信じられる?」

とすごい剣幕です.でも,あなた先週,掃除機が壊れて困ったとか言ってたじゃないですか.必要なものがもらえて良かったじゃん,とわたしは思ったので,Cにそう伝えると,

「あーんたは,なーんにも分かってないわ.それともあたしは掃除をしていれば幸せだとでも思ってるの.」

いや,そんなこと思ってないですけどね.それにわたしに怒らなくても良いじゃないですか.

矛先を変えようと思って,じゃあ,何がもらえれば良かったの,と聞いたところ

「花のひとつでも,チョコレート一箱でもあればだいぶ違ったわね.そりゃもちろん,ジュエリーなんかだったら,うれしいんだけど,あーっはっはっはっは.」

花とかチョコとかあっても別に変わらないじゃねーか,とは思いましたが,それをCに言うとまた面倒くさそうなので,そうだよねー,相づちをうちました.

でも,わたしはどうも釈然としない表情をしていたようです.それをさっして,Pが補足説明をしてくれました.

「プレゼントはね,何か特別な気持ちにさせてくれるものがいいのよ.例えば,チョコレートがなくても別に困らない.飢えて死ぬわけじゃないし,病気になるわけでもない.」

Pは続けます.

「でも,チョコレートをもらうとうれしいわよね?それは,チョコレートが必要を超えた特別な何かだからなの.だからこそもらった人を特別な気持ちにさせることができるのよ.」

なるほどねー.贈った相手を喜ばせるだけでなく,特別な気持ちにさせるのが大事にわけですね.また,特別というのは日常的な必要性を超えたところにあると.勉強になりました.

とまあ,ひとつ考えさせられたお茶の時間でした.今回のことは単にわたしが女心を分かっていないからなのか,文化差なのかはわかりません.でも,いろいろ示唆に富む価値観であるなあと思いました.どのような示唆があるかは,また,次回.