意味がなければスイングはない

意味がなければスイングはない

意味がなければスイングはない

ロックからジャズそしてクラシックに至るまで村上春樹が音楽を語る本.結構まじめに書いているのでこちらもかなりまじめに読んでしまいました.一番,ハッとさせられたのは「ブルース・スプリングスティーンと彼のアメリカ」の章でした.Born in the USAとかHungry heartの歌詞があんなに陰気だとは思わなかった.彼をウディー・ガスリーに連なる文脈で見たこともなかったし,政治信条もそれほど意識していませんでした.レイモンド・カーヴァーとの比較を通して語られるボスは,村上春樹自身の長いアメリカ体験と深い音楽体験が融合して,わたしには非常に新鮮で新しかった.ボス=ワーキングクラス・ヒーローというのもわたしにとってはあくまでも抽象的な概念で,血や肉もなく,目も鼻もついていないものだったと再認識されました.

最近,新しい音楽にとんと手が伸びず,それどころか音楽を聴くことすらあまりない生活になっています.久々にCDでも買いに行こうかなあ.