どこに行くかを決める:研究室の探し方

 ただ,外国に行くだけでは観光です.研究留学となると,外国に行って何か研究をしなくてはいけません.通常,研究には施設や人的資源が必要です.ですから,研究留学の場合,海外の研究機関に所属して研究することになります.

 どこに留学するかを決めるとき,一番重要なのはテーマでしょう.次に治安,物価など生活条件.さらに,受入候補の状況,例えば,代表者のポジション・年齢(若手か大御所か),メンバー構成,最近の業績も重要になってきます.で,最終的には相手先が受け入れてくれるかでどこに行くかが決まります.

受入希望先と連絡を取る

 テーマと生活条件を勘案し,行きたいところが決まったら,先方と連絡を取らなくてはなりません.

 研究留学ネットには,「紹介」「自分でアプライ」のどちらかで90%以上の研究留学が決まるという調査結果があります.

 紹介とは,日本の指導者,先輩などから受け入れ先紹介されるものです.いくつか候補があり,その中から行きたいところを決めるということも多いようです.とくにお医者さんの場合,その研究室(医局?)から代々同じ研究室に1-2年留学するというところがあります.メルボルンでもそういう人に何人か会いました.その場合,連絡先もすぐ分かりますし,交渉も極めてスムーズに進みます.連絡して返事がこないということはまずありません.

 紹介がない場合,自分でアプライする以外ないでしょう.一般的には学会などで話しかけ,感触をつかむ.そのあとでメールなどを使い,交渉するようです.webでメールアドレスを調べて,いきなりメールを送ることもあります.これを嫌がる受け入れ先もあるようです.また,面識がない場合,返事が返ってこないこともあります.

受入の条件

 受入の条件でもっとも問題になるのはお金です.給料をもらわない,あるいは,自分でスポンサーをつける,という金銭的な負担をかけさせない場合,交渉はわりとスムースに進みます.
 博士研究員の場合,給料をもらうかたちで研究留学することも可能です.この場合,留学というよりは,所属の変更になるのかもしれません.これが可能になるかは研究室の予算によります.オーストラリアの博士研究員の求職事情は全く良くありません.英語が不得意な外国人ポスドクに給与を払う研究室は非常に少ないでしょう.こちらで博士号を取ったひとも,ポストがなくアメリカやイギリスに行くことが多いようです.

わたしの場合

 わたしの場合,テーマと生活条件をいろいろ勘案して,メルボルンに来ることになりました.ここにはトップレベルの研究者がいましたし,生活に関しては他の候補になった研究室よりもだいぶ良かったのです.また,メルボルンに来ることを決めるのを後押ししてくれたのはこの本でした.

少し古くなってしまいましたが,研究者の視点から見たオーストラリアの良さがとても良く書かれています.これを読み,暮らしやすそうでいい国だなあと思いました.1年ほど住んでこの感想が間違っていなかったことを実感しています.

 現在の受け入れ先と面識はなかったので,メールを出して,受け入れてくれるか聞きました.わたしは外部スポンサーを確保していたので交渉はスムーズに進みました.先方が人間的にもいい人でしたし(ですし),わたしのこれまでの仕事を知っていたのも幸いでした.メールを書いたあと,一度こちらで少し話して正式に決めました(別にこなくても良いよといわれたのですが).

 てな具合でわたしはいまここにいるのです.

今日のお仕事

  • 注意PSE実験2プログラム終了,その後観察1回
  • Vの論文を読む
  • fellowshipに関する書類仕事
  • rppに関する書類仕事