メルボルンの治安(1):治安の比較における方針

メルボルン周辺のh地図


 メルボルンに来られる方から受ける最も多い質問は治安に関するものです.「住むのに安全な地域はどこでしょうか」「こどもと安心して暮らせる街でしょうか」「ドラッグの問題が深刻だと聞いたのですが本当ですか」などなど,これからはじまるこちらでの生活に関してやはり安全はとても重要な問題です.

 日本も最近は警察の機能低下や治安の悪化が話題になるようになってきました.それでもやはり日本の大部分は,まだまだ極めて治安の良く,安全であると思います.安全な日本から,常識や法律の違う海外に虚を構えるとき,治安や安全面の問題が最大の関心のひとつであることは当然かもしれません.

 そこで,メルボルン,およびその周辺の治安について,何回かに分けて書いてみることにしました.今の予定では,

  • シティ周辺地域の比較:Zone 1における差異
  • 犯罪の起こりやすい場所
  • 日本との比較

の3項目くらいを考えております.

 まず,メルボルンの治安と題する上で,どの範囲をメルボルンとして扱うか,お断りしておこうと思います.メルボルンという地名が付く範囲はシティと呼ばれる中心街の半径1km程度の非常に狭い地域のみです.これは上の地図のCBD(central business district)の周囲になります.
ですから,字義通りこの範囲のみをメルボルンとして捉えるのは,例えば,都庁のある新宿のみを東京と捉えるようなものです.東京と言った場合,23区にわたる範囲が想定されるのと同様,ある程度の大きさで考えなくては現実を反映した議論になりません.例えば新宿のみを東京として考え,治安レベル査定するなら,東京は世界でも有数の犯罪都市になるでしょう.メルボルンでも,字義通りメルボルンのみを対象とするなら,非常に深刻な犯罪都市となってしまいます. 従って,ビジネス,商業,行政の中心地域「メルボルン(すなわちシティ)」だけでなく,住宅地も含むような範囲を対象にすべきであると考えます.

 そこで,今回は公共交通機関のZone 1(地図中の点線内)を「メルボルン」として捉え,議論をしたいと思います.Zone 1は,東はBurwood, Camberwell, 西はSunshine, Williams Town, 南はBrighton, Bentleigh, 北はCouburg, PrestonといったSuburbまでをおよそ含みます.Zone 1とは,シティ周辺における公共交通機関の最低運賃適用範囲です.例えば,トラム(路面電車)や鉄道はこの範囲でしたら,均一料金で乗り降りすることができます.また,トラムがカバーする領域とおよそ重なります.Zone 1の大きさは,シティを中心に,およそ半径10Kmです.これはサイズとして日本の「市」と比較可能なものでしょう.また,この地域にはメルボルン周辺の人口も集中しています.Zone 1を超えるとたいぶ郊外になり,人口も減ります.また,そのあたりの地域ではおおむね治安はZone 1の範囲内よりも良くなります(一部の地域を除く).ですから,どこが安全な地域を議論する上で,サイズ,および議論の有効性からZone 1内に焦点を絞ってみようと思います.

で,前置きだけでだいぶ長くなってしまったので,本題は次回以降に....

今日のお仕事

  • 注意PSE実験2,実施(今日で中止め)
  • 矢印プログラムチェック.選択肢OX>MN>ODで,最後に決定.
  • バイアスプログラムチェック.反応部分を修正
  • コントラストプログラム改変.
  • 実験室の整備(plain language statement, debriefing comments, sign-up sheet, Consent form)