あと一歩がんばる(1)

 研究の着想は,わりと容易くでてくるものだと思います.例えば,論文を読んで.論文のなかに納得できないこと(例,コントロールの方法,議論のなかの仮定)や,未説明の事項を見つければそれだけで,研究のきっかけとなります.自分のデータをいじっているときに,新たな変数を加えることを思いつくこともあるでしょう.

 手を動かしていれば,それどころか,頭を研究のほうに向けていれば,小さなきっかけはそこら中にあるものだと思います.で,そのちょっと思いついたことをある程度研究のベースに載せることもたいがいそれほど難しくはありません.

 ただし,研究のベースに載せることと,良い研究を行うことはだいぶ次元の違うはなしです.わたしは,良い雑誌 良い研究のエントリーで,良い研究の例として「学会を先導する理論を提唱したり,新しい方向性を切り開く現象を発見したり」するものをあげました.で,パッと思いついただけでは,この良い研究のレベルにまで(少なくともわたしの場合)たいがい到達しません.

 思いつくのはたいていいわゆる「銅鉄研究」というレベルです.銅鉄研究とは「銅でできた研究を鉄でやってみる」というような全く創造性がない研究を指します.実際,工学研究において銅でしかできなかったことを鉄でできるようになったらたいしたものなのですが,あくまでも比喩として考えてください.

 銅鉄研究でも意味を持つことはありますし,研究の実施においてはかなりの創造性が必要になることもあります.それでも研究の発想レベルにおいて創造的なものをやはり目指して行きたいとわたしは考えています.

 これまでわりと思いついたことは,とりあえずデータを取って,とれたデータを小さくまとめるということをやってきました.ただ,これではやはり良い研究になることは少ない.これからは思いついたことを,すぐやってみるだけでなく,もう一夫先に進んで考えて見ようと思います.小さくまとめることだけを考えず,小さくまとめるべきか,もう少しつっこんで見るかきちんと判断できるようになりたいと思います.

 まあ,それができたら一流なんだよな.

今日のお仕事

  • 注意PSE実験2,実施
  • 注意PSE実験1,PSEの分析結果を書く.
  • 注意PSE実験1,RT,PC分析(cue x response x sequence).