Magnolia

ロス郊外を舞台に，いくつかのストーリーが同時多発的に進行する．登場人物は，ガンにかかったクイズショーの司会，その娘，さえない警官，死にかけたクイズショーのプロデューサー，その嫁，その看護人，クイズの元天才少年，現天才少年，詐欺師などなど．

一見，何の脈絡もない登場人物たちが少しずつ交錯し，物語は進む．ひとつひとつのストーリーは，ありふれたものだ．それぞれがこころに何らかの傷を負っている．ストーリーが交錯し，終盤に向かい緩く収束するなかで，それぞれの傷が癒されたり，癒される道筋が見えたり，癒されなかったりする．ひとつひとつに，それほど目新しいところはない．

しかし，それぞれが収束し，折り重なるところに不思議なうねりを感じる．折り重なったストーリーから生ずるハーモニーに独特の味わいがある．

ミステリーのようにストーリーはひとつの結末に収束するわけではない．ひとつひとつのストーリーの関連が分かる程度の緩やかな収束に過ぎない．しかし，終盤にパワーがあるファンタジーが展開され，物語全体はその緩い収束の元，力強い一体感を体現する．すごくいい

特にラストシーンがいい．夜明けを象徴的に使い，力強く肯定的なシーンになっている．最後のあの笑顔は，この映画は最高の一本にしたと思う．

3時間とちょっと長いがあのラストシーンが見られてわたしは本当にこの映画を見て良かったと思った．

あとトム・クルーズがすごくいい．こんなにいい役者だとは思わなかった．わたしは警官のエピソードがいちばん好きだけど．

今日のお仕事

• スライドづくり
• 予行演習
• MとCの論文を読む