論文の書き方(2):書く道具

4/19の論文の書き方(1):書く順序では,道具にはいっさい触れなかったのでその辺を書いてみようと思います.

わたしはもっぱら,emacs というエディターで,TeXを使って書いています.入力ではyaTeXにお世話になってます.英語のスペルチェックにはispellを用いています.

論文を書く場合,たいてい雑誌にあわせて原稿のフォーマットを変えなければなりません.できの良くない論文ですと,2つくらいリジェクトされて,3誌目でようやくアクセプトということもあります.そのようなとき,運が悪いと投稿のたびフォーマットを変えなくてはなりません.

TeXを使うとあれこれフォーマットで悩まないですみます.たとえば,APA(American Psychological Association)のフォーマットを用いている雑誌なら,「apa.cls」というクラスファイルを(書式設定ファイル)を文頭で指定すれば,それだけであとは何一つ考える必要なしです.たった1行,20文字程度書けばよいだけです.変更にあたっても,適切なクラスファイルに変更するだけで,書式は全部変わってしまいます.

論文の指定書式はきちんと守ろうとすると実に煩雑です.われわれの分野でよく使用される上記のAPAフォーマットでは,原稿を指定するマニュアルがあり,実にp.439(!)もの長さになります.まあ,はしからはしまで読む必要はないでしょうが,決まり事が非常に多いことは明らかです.

フォーマットはできるだけ守った方がよいとわたしは指導されました.フォーマットを守ることは,査読者,編集者の負担を軽減すると共に,心証を良くするのに役立つとわたしも思います.実際,まわってきた論文でフォーマットがきちんと守られていない論文は中身も良くないことが多いです.そういうことが続くとフォーマットが悪いと中身も悪いかのようなステレオタイプ的な評価を行ってしまうことがあります.まあ,フォーマットが守られていれば中身がよいということはないのですが.

フォーマットだけでもTeXを使う意義が多分にあるのですが,さらに魅力的にしているのが,文献管理で使用するBibTeXです.BibTeXでは,テキストベースのデータベースを使用しておけば,簡単なコマンドで本文中に正確な書式で引用をしてくれますし,末尾にこれまた正確な書式で参考文献表も作ってくれます.データはわりと誰かが持っているので,それをもらってしまってもいいですし,TeXMedというMedlineの検索結果をBibTeXデータに変換するソフトもあります.

もう慣れてしまっているせいですが,細かい操作をやるのもemacsの環境内ですべてコマンドでできるのが楽ですね.emacs+TeX+yaTeXという組み合わせなら,windows, mac, linuxなど基本的にすべてのOSで作業ができますから,環境の変化にも対応できます.また,テキストベースなのでデータ量も小さい.フリーソフトなどでタダ.などなど利点はたくさんです.

欠点は入稿をMicrosoft wordドキュメントのみで受け付けるような雑誌には出せないことでしょうか?まあ,そういうところはあきらめます.たいていの雑誌はdvipdfmでpdfにしたものを受け取ってくれるのでほかを探します.あとの欠点はTeXを使わない人と共著論文が少しめんどくさいこと,人が書いたTeXのソースファイルは読みづらいことでしょうか?欠点はどれもファイルを他人と共有することに関わっています.まあ,ファイルのやりとりはPDF,原稿作成レベルで修正を行うのはファイルの作成者のみってかんじで進めればたいして問題もないのかなと思います.

Texの入手に関しては
ctan (http://www.ctan.org/)

TeXの案内も含めてすべての情報は
TeX Wiki (http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/)

で手にはいると思います.TeX Wikiでは,emacs, BibTeX,dvipdfm,yatex, ispellに関しても情報が得られます.

TeXMedはこちらです.
http://www.sbg.bio.ic.ac.uk/~mueller/TeXMed/

今日のお仕事

  • PSE論文,序論終了
  • バイアス実験地味に進行中
  • プログラム少し