The Commitments

ザ・コミットメンツ [DVD]

「労働者階級の音楽をやるんだ!」というかけ声のもとソウルミュージックのバンドをつくるマネージャーが主人公.バンド自体はそれなりの紆余曲折をへて人気を得ていくが,それなりのトラブルがつきまとう.

音楽がすごくいい.オリジナルのアレンジだと思うんですが,Otis Redding のTry a little tendernessをやる劇中のライブシーンは個人的に鳥肌ものでした.こんなすごい音を出すバンドが裏に回れば女の子たちがひとりの男を巡って殴り合いの大げんかをしていたり,ボーカルは天狗になっていて周りから総スカンを食っていたりする.仲は非常に悪い.お金もなく,借金取りに締め上げられたりもする.ちなみにほとんどが失業中だ.

バンドに限らずどこでも外見はすごくうまくいってるようでも,裏はボロボロってのはよくあることだと思います.研究室でもそうですね.トップジャーナルにバンバン出してるけど,メンバーは仲悪いし,トップは傍若無人だし,退学した人とか行方不明とかがいっぱいいる.でも,そこで続ける人はいるし,そこの研究はいいものであったりする.

とてもいいセリフがあった.バンドの練習に来なかったバックコーラスの女の子のところへたずねていく主人公.家に行くとアイルランド特有の貧乏人の子沢山.しかも,お母さんは次の子を妊娠中で,親父さんは入院中という状況.練習にでられなかった理由を話したあと,こう言う.

I'll catch up. I need this band more than any of us. I need something to look forward to.

特に最後ですね.平たく訳すと「何か目標が必要なの」ってかんじなんですが,なんつーか直訳で訳した方が感じが出る気がします.「前を向いて進むための何かが必要なの」かな.これだとおかしいですね.

人間のんべんだらりと生きることもできますが,前にある何かを目指して生きるとやはり張りが違う.状況がそれこそクソな時もありますし,周りのやつがクソな時もありますが,前にある何かすばらしいものに向かって進む意志を持つことが必要なのかなあと考えさせられた一言でした.