健康保険をどうするか?

海外での長期滞在で,健康保険をどうするかはみなさん悩むところであると思います.オーストラリアの場合,永住の方なら自動的にMedicareと公営の健康保険に加入することになります.一方,3ヶ月以下の短い滞在なら,クレジットカードについている保険を使用することも可能です(保障内容は契約によって異なりますので気をつけてください).問題は,多くの研究留学のような1-3年程度の滞在です.

1-3年程度の滞在の場合,以下の4つのどれかになると思います.

  1. 日本の保険会社の海外旅行傷害保険に入る
  2. オーストラリアの保険会社の外国人向け健康保険に入る
  3. すでに加入している日本の健康保険(国民健康保険など)を使用する.
  4. 保険はかけない.

それぞれ,メリットデメリットを見ていきましょう.

日本の保険会社の海外旅行傷害保険に入る

 大手の保険会社なら,ほとんどどこでも海外旅行傷害保険を取り扱っています.日本の場合保険料は基本的には法律で決まっていますので,どのようなプランを持っているか,および,どのようなサービスを行っているかで決めるのがよいでしょう.
 海外旅行傷害保険の長所は,(1)日本語での対応が可能,(2)病院の場所や手配などのサービスをしてくれる場合がある(保険の種類による),(3)生命保険をかねているので,万一の時には助けになる.(4)損害保険もかねているので,物取りや紛失などのトラブルにも対処できる,(5)医療費は全額カバーされる(契約内容による),といったところでしょうか.
 一方,短所は,(1)金額がかなり高い,(2)立て替えをしなくてはならない(ごく一部の保険会社が指定する医療機関では立て替えの必要なし),(3)病院での事務手付きがとても面倒(たくさんの書類にサインをしてもらったり,自分で書いたりする必要がある)といったところです.

オーストラリアの保険会社の外国人向け健康保険に入る

 駐在員など滞在が2年以上になる方はこちらの会社の保険にはいることが多いようです.長所としては,(1)値段が安い,(2)立て替えの必要がないことが多い(契約による),(3)病院での事務手続きが簡素,といったかんじです.一方,短所としては,(1)プランが複雑でわかりにくい,(2)プランによっては全額支払うわけでない,(3)英語で交渉しなければならない,(4)保険会社の担当者の80%は無能であるか全くやる気がない,といったところでしょうか.

 外国人向けの健康保険としてはmedibankが有名です.
http://www.medibank.com.au/
ただし,ここは少し高い.ほかにもいくつかあります.豪州屋さんのweb siteを参考になさってください.
http://www.australiajapan.com/medical.htm

すでに加入している日本の健康保険(国民健康保険など)を使用する

国民健康保険,私学共済の健康保険などは海外で発生した医療費の払い戻しにも対応しています.私学に所属でサバティカルなどで滞在される方は,ほぼ100%共済の保険を使っているようです.

 長所としては(1)安い(余計な出費はない),(2)日本語での対応が可能,(3)歯の治療や既往症も保険の対象となるの3点でしょう.短所としては,(2)立て替えをしなくてはならない,(3)病院での事務手付きがとても面倒,(4)渡航後1年を経過すると請求が出来ない(国民健康保険)といったところです.

国民健康保険に関する具体的な手続きに関しては以下にとても詳しく述べられています.
http://www.tokyonet.com.au/~waku2/essay.8.html

保険はかけない

日本の保険にしろオーストラリアの保険にしろ,なんだかんだ言って,収入が非常に少ない方の国民年金を除きかなりの額になります.例えば海外旅行傷害保険ですと,単身者なら一年で日本円で10万円強くらいですが,家族が増えるとその分だけおよそ単純に加算されます.

まー,ぶっちゃけたはなし,よほど運が悪くない限り,そんな金額を医療費で使うことはありません.オーストラリアでは,一般医の診療が$30-50,専門医の診療が$100-150程度,クスリの値段は日本とあまり変わりません.ですから,通院すればなおる程度の病気やケガならしかしないのなら,悪くとも$500を超えることはまずないでしょう.実際,保険をかけただけで前々使わなかったなんてひともたくさんいます.これだと大損です.

日本でも自営業の方などは,ひんぱんに病院に行くような年になるまで保険に入らない方がいらっしゃいます.そうじゃないとひどく損をするというわけですね.まあね,掛け金のほとんどが無駄になるようなシステムじゃないと保険会社は成り立たないので当たり前と言えば当たり前なんですけどね.

まとめ

とまあいくつか見て来ましたが,安心とサポートを取るなら海外旅行傷害保険,値段を考えるなら現地の健康保険,日本の雇用先の保険が使える人はそれを使うという感じで良いでしょうか?もちろん,ギャンブラーは保険なんかかけないということで.