オーストラリアに臨床心理士として移住する

オーストラリアは基本的に移民の国です.いまでもたくさんの移民を受け入れています.ただし,最近は誰でも彼でも受け入れているわけではなくて,職業的な技術や専門性を持っている人を選んで受け入れるようになっています.

政府は,受入可能な専門職のリストを公開し,専門職の種類によって点数化しています.点が高いほど移民申請が成功する可能性が高くなります(*1).ちなみに臨床心理士はこのリストに含まれていて,職業としては最高得点が与えられています.ですから,オーストラリアへ移民がしやすい職業となります.

参照:Skilled Occupation List http://www.immi.gov.au/allforms/pdf/1121i.pdf

実際,わたしも何人か日本で教育を受け,しばらく実践をしたのちこちらへ渡って臨床心理士として働いている方を存じ上げています.なかには週3日の出勤でプール付きの家に住んでるかたもいらっしゃいます.プチ上流階級ってかんじですね.まあ,パートナーも稼いではいるんですが.

上に例として出した方のように,大学で心理学,大学院で臨床心理学のトレーニングを受け,ある程度の実践経験があるなら,オーストラリアで登録された心理士として活動するために,少なくとも申請することが出来ます.

大まかな登録の申請方法は,
Australian Psychological Society, Assessing Psychology Qualifications http://www.psychology.org.au/join/assess_psych_qual/default.asp
をご覧ください.基本的なプロセスとしては卒業証明書と免許証や登録証,そして審査料を送るだけのようです.まあ,おそらくあとで追加書類の提出を求められるとは思いますが,それでもそれほど複雑ではないでしょう.

海外での慣れない生活により,精神が不安定になり,心理的なサポートが必要な人は大勢います.多くの場合,その人たちには第2言語ではなく,母国語でのサポートがより有効であると考えます.そういう意味で臨床心理士が活躍する場はあると思います.

メルボルンにも,日本語でのカウンセリングと称し,おばちゃんやおねえさんが世間話に応じてくれるところはあります.ただこれらは心理的な相談と言うよりは,もっと実際的な問題を処理することを目的としています.日本語で専門的な心理的援助が受けられる場はほとんどありません.

こっちではなかなかお金も良い職業ですし,日本を離れてゆったり暮らしたいなあという臨床心理士の方は,是非,移民申請をお考えになってみてはいかがでしょうか?

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(*1)移民の可否は職業だけでなく,職歴,英語力,年齢など総合的な状況によって決定されます.臨床心理士なら,直ちに移民可能というわけではありません.