悪く言わないのも困ったもの

オーストラリアの人は面と向かってひどく批判したり,注意したりということがほとんどありません.町中で怒ったり,怒鳴ったりするひとも非常に少ないです.みんな穏やかです.そういう点では暮らしやすいと思います.

ただ,こういう穏やかでやさしいところも研究面では必ずしもプラスばかりではありません.例えば,研究の面でかなり悪い部分があっても,かなり遠回しにしか批判しない人が多いんですね.もちろん正面きって批判する人もいるんですが,そういう人は大抵外国からきた人です.しかも批判すると結構ひかれます.

実際外国人はその辺のことがわかっていなくて結構周囲をひかせてしまったりします.わたしも,打ち合わせの時「このアイデアどう思う正直に言ってよ」といわれたので,正直に全然ダメだといくつも理由を付けて話したら,その場にいた人8人くらいにものすごくひかれました.あとでドイツ人に「俺もはじめての同じことやったよー,ひかれたよー」と笑って話しかけられました.

批判されるべき欠点は批判を受け直したほうが研究は発展するのですから,正当な批判はするべきだとわたしなんかは思うのですが,オージーはどうもそうではないらしい.彼らの中には「直接話すとき,良いことは正直に言う,悪いことは言うべきではない」というルールがあるようです.というかそういうもんだと何人かから言われました.生活全般においてそんな感じなんですね.

こんな調子ですから,研究以外の場面でもあまり悪く言いません.ですから車を買うときや家を借りるとき,オージーの評価には気を付けなくてはなりません.とんでもない車でも「なかなかいいよ」といったり,とんでもなく治安の悪いところでも「家賃が安くていいところだよ」といったりします.

で,いつでも良いことしか言わないのかというとそうではなくて,陰口は結構たたくんですよね.かなりな仲良よい間柄でしか他人の陰口を言うことはないのですが,いったん仲良くなるとものすごい陰口をきくことになります.しかもその陰口の的だった人物と,実際に合うときはびっくりするほどフレンドリーだったりします.もう満面の笑みなのね.

こわいなー.