国家の品格

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

今更ですね.家族が渡してくれたので読みました.

むかしから藤原正彦が書いたエッセイは好きでした.若き数学者のアメリカ (新潮文庫)遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)など,海外生活を書いたものを海外に出る前自分の将来と重ねあわせて読んでものでした.それ以外も出版されたものはほとんど目を通していると思います.

ベストセラーになった本書ですが,内容を一言でまとめると「論理でなく情緒を大切に」ということ.これを分かりやすく,しかも幅広い教養を背景に説得力を持って語っています.情緒の大切さは誰もがわかっているのですが,はっきりとその論拠を打ち出すことが出来なかったと思います.それを分かりやすく,説得力を持って伝えたことがベストセラーにつながったのでしょう.道徳に理由はないって喝破してるところも良かったです.悪いことは悪いから悪い.確かに子どもにはそれで充分なのです.

この本が売れたと言うことは,潜在的に「論理でなく情緒を大切に」と考える人が多いことを示唆していると思います.ま,アメリカ的なガチガチ社会ってのはそれはそれで異常ですし,情緒を大切にした社会のほうが感情的に豊かに生きられることは間違いありません.人間てのは理屈よりは感情が前に出るものですから,相対的にどちらを重視すべきは個人的には明白だと思います.