閑話_心理学

Europsy:臨床心理士の国際基準

2週間くらい前までヨーロッパからお客さんが来ていました。臨床系の同僚(というか大先輩)もまじえた世間話で資格関連の話題になりました。で,そんときの話をメモ。臨床心理関連資格の国際化がヨーロッパを中心に進んでいるそうです。EU統合に伴って,ヨ…

Baron-Cohenのトリビア

自閉症研究で有名なSimon Baron-Cohenと,Borat, Ali G, Brunoなどの迷惑キャラクターで有名なコメディアンSacha Noam Baron Cohenは, 実の兄弟だった。 どちらもとんでもないことを言ったり,やったりして,多くの人を驚かせたり,怒らせたりするところは…

みなさんどのくらい頑張っているのかしら?隣の心理学者の生産性

休みで何となくネジがゆるんでいると,最近おれは怠けてるよなあとつくづく思います。でも,そんなとき昔の同級生の顔を思い浮かべると,あいつよりは結構頑張ってるよなあ,とも思います。でも,べつの同級生やバリバリやっているひとの顔を思い浮かべると…

モテる男がお好きでしょうか?

彼氏にはモテる男がいいですか,モテない男がいいですか?酒を飲んで話すと両方の意見があるようです.「わたしは彼氏がかっこいい方がいいからモテた方がいい」という人もいますし,「彼氏の良さはわたしだけがわかっていればいい.他の人にちょっかい出さ…

クロンバックのアルファ係数

心理測定法の基礎です.大学ですと2年生くらいで習うのではないでしょうか?これは信頼性係数と呼ばれるもので,複数の項目で測定されたものの内的な整合性を示す指標です.よーするに,いくつかの物差しで測ったものについて,それぞれの物差しが一貫してる…

言葉は認識を支配しない:言語相対性仮説批判(1)

この間,英語で考えるというエントリーを書きました.そのとき,アメ男の妻さんからコメントをいただきました.アメ男の妻さんは,さらにこの件に関して,英語でしゃべるときは英語脳じゃないの?というエントリーをご自身のweblogでお書きになっています.…

仲間になると差別も消える?:差別と偏見の心理学(3)

これまで偏見や差別が生まれてくる過程について,(1)偏見や差別は学習や経験によってのみ身に付くものではないこと,(2)集団に分かれることだけで偏見や差別が生まれること,を紹介しました.差別や偏見にこのような特性がある以上,人間は基本的には他人に…

身内びいきってすごいのね:差別と偏見の心理学(2)

人が集まれば「閥」が出来るものです.派閥争いのような,集団と集団の争いはどこでも見受けられます.一般に人間は自分の集団の価値を高く,多集団の価値を低く評価します.これは内集団バイアスとして広く知られています.こういうと難しいですが,いわゆ…

 カエルの子はカエルではない?:差別と偏見の心理学(1)

昨年の12/25に黒ヒゲ危機一発発売中止要請のニュースについて書きました.そのなかで 差別と偏見に ついて検討する場合,特に4,すなわち,経験の過大評価のために問題の本質を見誤り, 解決を遅らせる可能性すらあると考えます.この辺については,後日もう…

ちょっとやりすぎ?:パニック障害の実証的検討

例えば,朝9時から大事な試験なのに,起きたら8:50でパニック!なんてことは誰もが経験あるのではないでしょうか.びっくりしてパニックになる,例えば,大声を出す,呼吸が一瞬止まる,息苦しくなる,動悸が高まる,息が速くなるなんてことはきわめて普通の…

キスの行動学:あなたは右,それとも左?

むかしのマンガで,はじめてのキスの時に,鼻と鼻がぶつかるシーンってよくありませんでしたか? 主人公の高校生カップルが,目をつむってドキドキしながら顔を寄せていくと,コツンと鼻と鼻があたる.テヘっとお互いが照れて笑ったあとまた軽くチュッとして…

トロいと早く死ぬ?:反応時間と寿命の関係

長寿の秘訣とはなんでしょう?テレビをつければ,健康に関する情報が氾濫しております.ダイエット,健康の維持,そして,その結果としての長寿に対する興味はつきるところがありません.例えば,「おもいっきりテレビ」はこのへんの興味を満たすことにより…

 スキナーの娘は心身共にとても健康

Opening Skinner's Box: Great Psychological Experiments Of The Twentieth Century作者: Lauren Slater出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc発売日: 2005/02/01メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るという本が話題に…

条件付けで自分をもっと好きになる

臨床系の教員を抱える心理学科の卒論や修論タイトルで,最もよくみる用語はなんでしょうか?別に統計を取ったわけではないですが,わたしは自尊感情だと思います.自尊感情とは自己に対する評価感情で,基本的には自分に対するポジティブな思いを指します.…

破壊兵器ないはずですが...:イラク戦争の誤った記憶

誰がどう考えても泥沼化しているイラク問題.さすがのアメリカでも撤退を考えるひとも出てきているようです.その一方で,この戦争をまだまだ正義の戦争だと信じているアメリカ人が多いのも事実.先月,北米をいろいろ移動して,アメリカの田舎とカナダの都…

こころの浮気と身体の浮気

2ちゃんねるの鬼女板のスレタイにでも出てきそうなタイトルですが,こころの浮気と身体の浮気でどちらが我慢できないかを調べた研究は数多く行われています.この質問結果をまとめただけでは,昔のスコラとか今のプレイボーイとかのアンケートと変わりませ…

眼があえば恋のはじまり

電車のなかできれいなひとと眼があってドキッとする.男性なら誰でもそんな経験があると思います.女性でも,かっこいいひとと眼があったらドキッとするのではないでしょうか.人間は他人の視線にとても敏感です.これは比喩的な意味でなく,文字通り,目で…

モーツアルト効果の出来るまで

「モーツアルトを聴くと頭が良くなる」ってこれまでにお聞きになったことはないでしょうか?これはRauscher が発表した論文(*1)がもとになっているモーツアルト効果と呼ばれる伝説です.この研究自体は,大学生にモーツアルトを聴かせたところ,聴かせている…

わたしたちの見ている世界:じつはほとんど見ていない?

「髪を切ったのになぜ気がつかないの?」女性からこのように怒りの問いかけをされた男性は多いと思います.ええ,わたしも昨日そういう目に遭いました.われわれは,0.1mm単位の差を区別できるすばらしい視覚能力を持っています.人間ほど優れた視力(細かい…

 コレステロールは頭にいい:過食への福音?

記事はここで最初に見つけました. http://radio.weblogs.com/0117471/2005/03/21.html#a231 コレステロールは脂肪ですし,それを多く含むを食品はカロリーが高い(たとえば,卵黄).ですから,ダイエット中の方には天敵です.実際,コレステロールは太って…

遺伝子があやつる異性の好み:あるいは体臭と免疫の話

20世紀最大の発見はDNAだと言われます.実際,この発見により,われわれの生命観は大きく変わりました.また,遺伝子工学,遺伝子治療を通じわれわれの生活も大きく変わり続けるでしょう. 生物は遺伝子に刻まれた情報に極めて強く制約されます.われわれヒ…

 ちょっと感ずるところ

昨日のトラックバック先の,ロテ職人(さん)の臨床心理学的Blogのコメントで,わたしは, >心理学に関わる人たちがメディアでもっと正しくおもしろいものを発信できるといいんでしょうね.なんて述べたわけです.偉そうに. で,偉そうに書いたくせに,自分…

文化でこころはかわる

先日,ロテ職人(さん)の臨床心理学的Blogというところで少しコメントを出したりしました.そのやりとりや,ロテ職人さんの(真摯な)態度にちょっと感ずるところがあり(明日書きます),[閑話 心理学]というカテゴリーで心理学のはなしをしてみようと考え…